Miki KOYAMA

ーー2017年の開幕まで1カ月と少しになりました。まだ参戦体制が決まっていないという焦りもありますか?

「意外とそうでもないんです。去年は途中でFIA-F4に参戦できなくなってしまいましたけど、インタープロトのレースや埼玉トヨペット Green Brave 様にFIA-F4の最終戦に出させてもらって、そのことで感覚が変わったんです。車載カメラを見ていても、それまで気付かなかったようなことに気付けるようになったり、もしかしたら速く走れるんじゃないかと思って受けたオーディションでトップタイムを出せたりして、ドライバーとしてこれまでよりも自信が持てるようになりました。このまま流れに乗っていきたいなっていう気持ちになってますね」

ーー良い体制で参戦できれば、すぐにでもFIA-F4で勝てると思いますか?
「もちろん、今すぐに勝つのは難しいと思います。でも優勝を狙いに行けるくらいのポジションでうろちょろできるくらいのところにはいるんじゃないかと思います」

ーーそもそも、2016年に突然参戦できなくなってしまった時のことを改めて聞いておきたいんですが、2016年の第2ラウンドを終えた段階で何が起きたのでしょうか?
「私も事情はよく分かっていなくて、(チームが撤退せざるを得ないと聞かされて)『いなくなっちゃったのか……もう一緒にできないのかな……?』という感じでした。最初はなんとか何戦かだけでも参戦できないかと努力はしていると聞いていたんですけど、それも上手くいかなかったようです。誰が悪いというわけではないし、起きてしまったことは戻らないし、私は仕方ないなと思って前を向いていくだけでした。チームが止まっても自分は立ち止まるわけにはいかないから、とにかくここまで参戦させてもらえたことを次に繋げて、また(どこか他のチームで)乗れるようにしたいっていう思いだけでした」

20170303-02

 

ーーもしチームが続いていたら、どんなシーズンになっていたと思いますか?
「2016年はメンテナンス面などチーム体制も変わって、あの雰囲気はすごく良かったんです。メカニックさんとの関係もすごく良かったし、1年を通して参戦できていたら常にポイント圏内にいて良いところを走っていただろうし、その中で私自身も成長できていれば表彰台も行けたんじゃないかと思います」

ーー開幕戦の岡山では初戦でクラッシュしたものの、2戦目では女子ドライバー初の入賞が狙える位置で、明らかに前年より良いポジションにいました。それだけに、開幕戦のクラッシュで背中を痛めた影響で第2ラウンドの富士を欠場しなければならなかったのが残念でした。
「あの時は『この1戦しかないなら無理してでも出ろって言うけど、今後のことを考えて身体を治すことに専念しろ』って言われたんです。だけど、実際にはそれが最後になってしまったっていう……(苦笑)。私は出ようとしてたし、あれが最後のチャンスだって分かってたら間違いなく無理してでも出てましたけど、チームの誰もがあれが最後になるとは誰も思ってなかったんです」

ーーチーム撤退のショックからは立ち直れましたか?
「それは早いうちに立ち直っていました。周りの人は私の置かれた状況も何も知らないし、自分でなんとかするしかないし、状況を変えていかないと前には進めませんでしたから。自分だけネガティブな感情を引きずっていても何にもならないから、前向きな気持ちに切り替えて努力するしかないなって思ったんです」

20170303-04

ーーでは、2017年シーズンに向けて今の状況はいかがですか?
「簡単に言えば、私はどこかのチームに所属しているわけでもないし、マネージメントをしてくれる人がいるわけでもなくて、活動するためのお金も全然足りないし、もっともっと応援してくれる人を増やさないといけない状況です」

ーー活動資金的にも厳しい状況ですか?
「ツラいですね……。私の場合は最初の手持ち資金がゼロだったから、チームに話をすることもできなくて、まずはとにかく少しでも資金を集めなきゃいけなくて色んな方々に支援の相談させて頂いて、その中から少しずつ支援してくださる方々が増えてきてという感じです」

ーーその進捗は、順調ですか?
「順調と言えば順調ですけど、まだ必要な予算が集まっているわけではないし、まだまだ先は長いですね。勝てる力があるチームに乗れるチャンスがあったとしても、資金が充分でなくて諦めなきゃいけなかったりしましたし」

ーーその一方で、誰が生活の面倒を見てくれるわけでもないし、日々の生活は大変ですよね。
「そうですね、自分の生活もあるので生活費を稼ぐためにバイトもしなきゃいけないし、スポンサー活動ばかりしているわけにもいかなくて。週4日は朝から夕方まで1日8時間働いて、それが終わってから週5でジムに行って4時間半トレーニングをして、家に帰ってから企画書をまとめたりスポンサー活動のための作業をしてます」

ーー体力的にも精神的にも厳しい毎日ですね。
「でも自分がやりたいことのための大変さなので、ある意味では幸せなことだなと思います。去年チームがなくなって自分がレースに出られなくなって何もできなくなってしまったときに、(レースと)関われないってこんなにツラいんだなって痛感しました。だから、今もこういう日々の生活はツラいけど、自分がやりたいことや好きなことのためのツラさだから、それは自分の生きがいだって感じられるし。余裕はないけど、1秒1秒が濃くて充実しているんです」

20170303-05

ーー後ろ向きな気持ちになったりはしませんか?
「希望を捨てた人間から運は離れていくと思っているんです。弱気になって気付かないうちに後ろ向きな言葉ばかりになっていて負けてしまったりっていうこと、あるじゃないですか? 私、“なんでも落書き帳”っていうのを作っていて、そこにその瞬間の素直な気持ちをいっぱい書き込むんです。『お金が集まらなくてシートが取れるか不安だ!』とか、本心は不安ばっかりですよ。でも、それを毎晩見返すことで今の自分を客観的に見詰め直して、弱気にならないようにしてるんです。その中には『自分の目指す場所が全て』『小山美姫らしく』って書いてあって、その気持ちを忘れないように自分に言い聞かせてます」

ーーレースの世界で女子として戦うことについて、対等の条件で戦いたいし負ける気もしないという気持ちに変わりはありませんか?
「男子のスポーツだとされているレースの世界で戦う上で、自分の中では男だからどうで女だからどうだっていう意識も区別もしていません。支援のお願いをするときにも、女だからどうだっていうような話はしません。だけど、レースに詳しくない方だと、最初は『女性の中で戦っているの?』って聞かれるんですよね。40台近くのマシンが走っていて、男子に混じってその中で戦っているって説明すると、驚かれます」

「そういう意味では、ほとんどが男子だから男子が優勝するのは特別なことじゃないけど、女子だったら10位を走っているだけでも注目されるし、スポンサーさんにとってはそういうメリットがあるのも事実ですよね。いろんなメディアに取材して頂いて掲載して頂いているのも、FIA-F4のドライバーでは普通あり得ないことだし、それも女子ドライバーだからこそですからね。だから、スポンサー活動という点では使えるもの(自分が女子ドライバーで注目されるという武器)は使った方が良いとも思ってます」

ーー牧野任祐や坪井翔、福住仁嶺など、FIA-F4やカートで一緒に走っていた人たちがどんどん上のカテゴリーにステップアップしていきますが、焦りは感じますか?
「待ってろよ、今に追い付いてやるからな!って感じです。相手が足踏みしなかったら追い付くのは簡単じゃないかもしれないけど、私は少しずつでも進み続けるつもりです。彼らがどこかで立ち止まれば追い付くかもしれないし、彼らが立ち止まらなかったとしてもF1とかスーパーフォーミュラみたいな頂点で追い付くかもしれないし」

ーーF1という夢は、諦めていませんか?
「はい、行きます。まだ諦めてないし、その夢に向かって進み続けます。ですので、1人でも多くの方に応援して頂き、小山美姫と一緒に戦って頂ければと思います。応援、よろしくお願いします!」

20170303-03

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。